2008年12月30日火曜日

メディア論

メディア産業に身を置いているので、メディア論でも勉強しようかと思いまして。

メディア論 (放送大学教材)を読んでみた。


まず、この本では、

『メディアの発展が、それを支える技術的な革新によってこそもたらされたのだと考える人々は、しばしばこのような段階的で直線的な発展モデルでメディアの歴史を捉えようとする。だか私たちがこれから具体的に見ていくように近代におけるメディアの展開はこれよりはるかに複雑であり、重層的である。次に現れる「ニューメディア」は、技術決定論的な発達史観によってではなく、その時代ごとのメディアと社会の全体的な構造関連というコンテクストの中にこそ位置づけられなければならないのだ。』

という主張からスタートし、


2章以降は、グーテンベルクによる活字メディアの時代の幕開けから、新聞→電話→テレビ→インターネットの誕生までのメディア史を、『社会的なコンテクストの中に位置づけて再解釈』し、簡潔にまとめられている。中でも、電子メディアの発展については、9章にて歴史的、社会的なパースペクティブを含め、細かく述べられている。また、6章では、日本のマスメディアの業界構造にも触れられており、業界を理解するのにも役立つ。


その他、7章からは、メディア論という学問の歴史について、群集論からコミュニケーション論、プロパガンダ研究からマスコミ研究、さらにマクルハーンやカルチュラル・スタディーズまでがまとめられており、また11章ではメディア・リテラシーについても触れられていて、メディア論の入門者にとっては、メディア論全体を大まかに学ぶことができて、極めて分かりやすい構成となっている。


目まぐるしいスピードで新たなテクノロジーが次々と登場する今日、その新たなメディアの技術的な側面のみに注目するのではなく、どのような社会的なプロセスの中からそれが誕生してきたかを考えることが、メディアを理解するのに最も重要な姿勢であるということを、この本を通じて認識させられた。

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