2008年2月20日水曜日

日本の広告費2007

MarkeZineの記事によると、電通が発表した2007年の日本の総広告費は、前年比1.1%増の7兆191億円とのこと。


マス媒体が相変わらず減少しているのに対し、DMやフリーペーパー、インターネット広告は好調な様子。


経済産業省の「特定サービス産業実態調査」では、広告業を「広告代理業」と「その他の広告業」に分けていて、「広告代理業」が98.2%で、「その他の広告業」が残りのわずかで、その両方を合わせて広告業の売り上げ高は、8兆2768億円とうことらしい。


「2008年 基礎から学べる広告の総合講座」の2講によれば、日本の広告費は8兆円強の規模と考えられるし、さらに周辺市場を合わせれば10兆円規模になるらしい。8兆規模となると、05年の石化製品出荷額に相当するらしく、かなり大きな産業となるとのこと。


やはり注目すべきは、「その他の広告業」とのこと。



2008年2月15日金曜日

破壊的イノベーション。

スマブラXが100万本を突破任天堂ゲームソフトも一人勝ち、など相変わらず任天堂の快進撃が続いている模様。


ちょうど一年前、就職活動で任天堂とソニー・コンピュータエンタテイメント(SCE)の両社の会社説明会に参加することが出来た。その時、会社説明会を通じて(数時間の説明会だっだけど)、両社の戦略の違いを肌で実感することができたので、思い出しつつエントリー。


その戦略の違いというのは、任天堂が「みんなが(で)出来る」ゲームを作りたいというのに対し、SCEは「技術的に高度な」ゲームを作りたいというもの。


これって、まさに「イノベーションのジレンマ」の典型的な例。


ハー バードビジネススクールのC.クリステンセンによれば、「技術」は、「持続的技術」と「破壊的技術」に分けることが出来るらしい。「持続的技術」とは、製 品の性能を高める技術。一方、「壊的技術」とは、短期的に製品の性能を引き下げたり、主流から外れた少数の、たいていは新しい顧客に評価される特徴 があり、通常低価格、シンプル、小型で、使い勝手が良いなどの特徴がある技術らしい。


で、かなり大雑把に家庭用ゲーム機の歴史を見ると、
ファミコン→プレステ→プレステ2→プレステ3
                    →Wii

という流れ。(適当過ぎw)


プレステ3には、プレステ2の成功で得た資金を元に開発されたCELLという超高性能な半導体が利用されていて、プレステ2を上回る超高性能なゲーム機として、かなりのお値段で発売された。言わずもがな、プレステ3は、ファミコン以来常に性能を向上させてきた家庭用ゲーム機の最高峰であり、「持続的技術」と考えることが出来る。


一 方、Wiiは、プレステ2に比べても、そんなに高度な技術を使用しているわけでもないけど、誰でも楽しめる簡単な操作性や直感的なインターフェースといっ た新たな価値をもたらした。勿論、お値段もプレステ3に比べれば安いし、Wiiはプレステ3に対する「破壊的技術」と考えることが出来る。


このように、技術的に劣るイノベーション(Wii)が、時として、技術的に最高の製品を売っているイノベーター(SCE・プレステ3)を凌駕し、それに取って代わりマーケットを支配する現象が起こる。面白いのは、技術的に高度なイノベーションが、常に勝つというわけではない、というところ。


では、なぜプレステ3がWiiに負けたか。それは、「偉大な企業が全てを正しく行うが故に失敗する」ということらしい。


SCE は、顧客の意見に耳を傾け、新技術に投資し、家庭用ゲーム機として最高峰のプレステ3を作った。すなわち、技術的に登れるところまで登ったのである。しか し、「登れるが、降りられない」(Asymmetry Motivation)という現象に陥った。これが、「イノベーションのジレンマ」。イノベーターはイノベーターが故に失敗するのである。


その理由と解に関しては、クリステンセンの本や関連の記事を参考に。


そして、会社説明会に参加して実感した任天堂の強さの秘訣は、任天堂では社長を筆頭に「破壊的技術」について正確な理解があり、全社的に技術をいかにマネジメントしていくかについてのビジョンと戦略があり、それを実行しているところだと思った。



そういえば、最近インドのタタモーターズが10万ルピー(約28万円)の超廉価乗用車「ナノ」を発売したというニュースがあった。世界のトヨタがさすがなのは、レクサスを作っている一方で、グループ会社にしっかりと軽自動車がお得意のダイハツが入っているところ。

  

2008年2月14日木曜日

インタラクティブとOOHが増加。

Markezineのこの記事によると、電通の2007第3四半期までの売上高は前年同期比2.5%減の1兆5,125億4000万円だそうで、


業務区分別の売上高を見ると、第3四半期(2007年9月~12月)は、「新聞」467億6600万円(7.2%減)、「雑誌」190億2600万円(5.8%減)、「ラジオ」60億1900万円(2.8%減)、「テレビ」 1,889億9600万円(3.5%減)とマス4媒体がのきなみ前年同期と比べて減少。一方、インタラクティブメディア(インターネット、モバイル関連メディア)は63億9000万円で29.2%増、OOHメディアは122億300万円で12.8%増と好調を維持している。


とのこと。

世の中の流れから言えば、当然ということなんだろうか?!

2008年2月4日月曜日

検索 vs ECサイト

インターネットショッピングに関する興味深い調査をついでにメモ。


Webマーケティングガイドとボーダーズの調査によると

オンラインショッピングで購入しようとする場合、具体的にどんな方法で商品を探しているか尋ねたところ、
「商品名やキーワードで検索して、見つかったサイトで探す」が54.9%、
「決まったECサイト内で探す」が45.1%
と続く結果になった。

つまり、検索派とECサイト派はほぼ半々。


しかし、男女別でみると

オンラインショッピングで購入する場合、
女性で決まったECサイト内で探すユーザーは47.5%いるにも関わらず、
男性ユーザーはわずか16.0%に止まっていることが分かった。


つまり男性に関しては、8割の人が検索派という結果。


個人的には、本を買う時には、いつも利用しているAmazonを必ず使う。なぜなら、慣れているし、一度利用したことがあるから安心だし、決済方法も分かるし・・・他には、服などもいつも決まったサイトを使うんだけど。

ただ、それ以外の商品に関しては、検索エンジンで調べて、そこで見つかったサイトで購入することが多いかなーっと。

にしても、この男女差が気になる。

論文メモ。

ようやく課題研究が終了したので、忘れないうちに「検索連動型広告」に関する論文をメモ。

日本では、広告代理店や調査会社による検索連動型広告に関する統計的な調査はかなり沢山あるんだけど、アカデミックの世界ではあまりこの分野についての研究は進んでいない様子。なので、今回は米国での定性調査を参考にしてみた。その中でも、特にお世話になった論文をメモ。


Fain, Daniel C. and Pedersen, Jan O. 2006. “Sponsored Search: a Brief History.” Bulletin of the American Society for Information Science and Technology,

そもそも、検索連動型広告ってなんやねん?ということに応えてくれる、検索連動型広告に関する定義が述べられている。ちなみに、コトラー&ケラー(2006)"Marketing Management"では、search-related adsと言われているが、paid listings, spnsored search・・・世の中では様々な呼び方がある模様。


Jansen, Bernard J. and Resnick, Marc. 2006. “An Examination of Searcher’s perceptions of Nonsponsored and Sponsored Links During Ecommerce Web Searching.” Journal of The American Society for Information Science and Technology
56人の大学生を対象にして、各々に6つの検索タスクを与え、Eコマース時において被験者がどのように検索エンジンの結果ページ(SERP)を利用するのかについて研究している。被験者が、どのように普通の検索結果(オーガニック検索の結果)と検索連動型広告を利用しているか、また検索クエリの違い(具体的なクエリと大まかなクエリ)による検索連動型広告を利用するかしないかの違いがあるのか、などについて書かれている。


Hotchkiss, Gord. 2004. “Into the Mind of the Searcher” ENQUIRO Rsearch.
アカデミックな世界の人による研究ではないが、Enquiroというカナダの検索に関するもろもろを調査しているリサーチ会社の研究。あらかじめ簡単な質問をして厳選した24人の被験者に対して、2つの検索タスクを与え、Eコマース時において被験者がどのように検索エンジンの結果ページ(SERP)を利用するのかについて研究している。この実験では、利用している検索エンジン(Google, MSN, Yahoo!)ユーザーごとの違いが述べられている。


ということで、これらが主にお世話になった論文でした。